カルシウムの吸収はビタミンが効果的!? 吸収率を高める2つの成分

歯や骨を作るほか、神経の興奮まで抑える働きがある栄養成分のミネラル。そんなミネラルに含まれる成分の代表と言えばカルシウムではないでしょうか。

よく「カルシウム不足」について語られますが、厚生労働省が推奨している量と、実際に私たちが摂取している量は、すこしですが開きがあります。たとえば、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年度版)」には、カルシウムの推定平均必要量としてこう記されています。

  • 30~49歳の男性は550mg/日
  • 50~69歳の男性は600mg/日
  • 18歳以上の女性は550mg/日

ところが、同じく厚生労働省による「国民健康・栄養調査(2016)」には、カルシウムの実際の摂取量としてこう並んでいます。

  • 30~39歳の男性が439mg/日、女性は442mg/日
  • 40~49歳の男性が439mg/日、女性は435mg/日
  • 50~59歳の男性は491mg/日、女性が478mg/日
  • 60~69歳の男性は543mg/日、女性が539mg/日

すこし分かりにくいですが、いずれの数値も推定平均必要量を満たしていません。つまり、多くの人がカルシウム不足ということが言えるのです。そこで気になるのが、カルシウムをより効果的に摂取する方法ですよね。

ここではカルシウムの吸収率を高める2つの成分はもちろん、カルシウムの吸収を阻害する成分などもご紹介します。まずは、カルシウムそのものの役割から見て行きましょう。

カルシウムとは!? カルシウムが不足するとどうなるの?

カルシウムは最も体内に多く含まれているミネラル

カルシウムはミネラルの中で最も体内に多く含まれ、体重の1~2%を占めると言われています。そのうちのほとんど(99%)が歯や骨に存在し、残り(1%)は血液、筋肉、神経といった組織にあります。

「神経のいらだちを抑える」、「筋肉を収縮させる」、「心臓を規則正しく働かせる」ほか、「血液を固めて出血を防ぐ」、「体内の鉄の代謝を助ける」、「ホルモンなどの分泌に働く」など、重要な生理作用を担っているのです。

カルシウムが不足するとどうなる?

カルシウムの摂取量が減り、いわゆる「カルシウム不足」という状況になると、副甲状腺ホルモンやビタミンDが働き、骨からカルシウムを放出させ、血液中のカルシウム濃度を一定に保たせます。

つまり、すでに体内にあるカルシウムで補てんすることになり、慢性的にカルシウムが不足すると、骨のカルシウムが失われ、成長期の子どもでは骨の発育に問題が起こることがあります。

大人でも、骨質が弱くなることで腰痛や肩こり、血行などにも問題が生じて高血圧や動脈硬化の原因にもなり得ます。精神面にも影響を及ぼし、イライラや怒りっぽくなることも。極度の不足では筋肉の麻痺なども起こることがあります。

カルシウム不足が原因で考えられる主な病気

  • 骨粗鬆症
  • 成長の妨げになる(子供)
  • 骨や歯の強度が弱まる
  • 高血圧や動脈硬化などの疾患など

カルシウムは食品によって吸収率が違う

カルシウムは、食品によって身体に吸収される率が異なります。たとえば、牛乳をはじめとする乳製品は50%、魚類は30%、青菜類は18%と言われています。牛乳や乳製品が圧倒的に高いことが分かりますね。

では、なぜ乳製品は吸収が良いのでしょうか?

乳製品に含まれる乳糖、リジン、アルギニンといったアミノ酸がカルシウムの吸収を高めるからだと言われています。また、カルシウムの吸収を阻害するリンと結合するカゼインホスホペプチドの存在が、カルシウムを多く体内に吸収させるとも考えられています。

カルシウムの吸収はビタミンが効果的!? 吸収率を高める2つの成分

骨の形成に関わるビタミンD

 

茶碗蒸しにはタマゴやきのこが入るのでおすすめ。鶏肉が美味だが、あえて豚肉を入れて「カルシウム不足」を補いたい

ビタミンDは骨を作るために欠かせない脂溶性ビタミンです。カルシウムの動きを調性する力があり、カルシウムの摂取量が少なければ補い、反対に多ければ蓄積させる作用を助けています。

ビタミンDが不足すると、骨や歯をはじめ、血行などにも問題が起こるようになり、たとえば子どもは「くる病」(骨の石灰化障害)、大人は「骨軟化症」、閉経後の女性では「骨粗しょう症」、「動脈硬化」なども心配になります。

ビタミンDは、かつお、あんこうなどの魚類、豚肉をはじめとする肉類、牛乳などの乳製品、卵やきのこ類に多く含まれています。

カルシウムの働きを調性するマグネシウム

ひじきの煮物は、海藻や油揚げ(大豆)が入るのでおすすめの一品。マグネシウムを摂って「カルシウム不足」から脱出しよう

カルシウムにとっては、ビタミンDと並んで重要なパートナーと言えるマグネシウム

マグネシウムは、循環器系(心臓、動脈、静脈、血管など)の健康を守る栄養素です。カルシウムの働きに関与し、骨の健康を維持する働きがあります。マグネシウムが不足すると、細胞の中にカルシウムが増えすぎて、筋肉の収縮がうまくいかなくなるほか、興奮しやすくなるなどの問題も生じます。

マグネシウムは、ひじき、昆布、ココア、わかめ、ごま、アーモンド、大豆などの植物性食品のほか、さくらえび、まいわし、あさりなどの魚類に多く含まれています。

カルシウムの吸収を阻害する成分とは?

美味しいが、「カルシウム不足」が気になる人はカップ麺は食べないほうが無難

加工食品やスナック菓子、清涼飲料水に含まれるリンやナトリウム

加工食品、冷凍食品、スナック菓子、清涼飲料水などに多く含まれるリンナトリウムは、カルシウムの吸収を妨げます。

リンは骨や歯を作り、多くの生理作用を担うミネラルですが、過剰摂取が問題とされています。過剰摂取すると、軟組織にカルシウムが沈着するようになり、副甲状腺機能亢進をきたすことも。

また、ナトリウムはカップラーメンをはじめとする塩辛いものに多く含まれています。醤油をよく摂取する日本人はナトリウムの摂取過剰が問題とされています。

シュウ酸やフィチン酸、食物繊維もカルシウムにとってはマイナス

ほうれん草やチョコレートなどに含まれているシュウ酸はカルシウムだけではなく、マグネシウムの吸収も阻害します。

また、フィチン酸は、穀物類や豆類に多く含まれた成分ですが、強い排出作用があります。食物繊維の排泄作用も同様ですが、これらもカルシウムを阻害する成分として見逃せません。

【まとめ】

骨や歯を形成し、血液の流れを良くするカルシウム。

大半の日本人が「カルシウム不足」という調査結果が出ていますが、ビタミンDとマグネシウムがカルシウムの吸収率を上げることが分かりました。

アーモンドフィッシュもおすすめ。カルシウムの働きを調性するマグネシウムが豊富に含まれている

人それぞれ体調や状況は異なり、「牛乳を飲めない人」、「豚肉や牛肉といった肉を食べない人」、「ひじきや昆布など海藻類が食べられない人」がいると思いますが、ビタミンDとマグネシウムを意識してカルシウム不足を補いましょう。

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