脂質異常症とは、「悪玉LDLコレステロールや血液中の中性脂肪が極端に増える」または「善玉HDLコレステロールが極端に減る」といった状態のことです。
厚生労働省の患者調査の概況(平成26年/2014年)によると、継続的に脂質異常症に対する医療を受けている人の数は206万2000人。男女の内訳は男性59万6000人、女性146万5000人とあります。平成23(2011)年の調査でも総数188万6000人に対して、男性52万5000人、女性136万1000人。
つまり、脂質異常症は年々に増え、しかも20代や30代の若い女性に多く見られていることが分かります。
気になるのが、「なぜ女性のほうが多いのか」ということでしょう。年齢的に何歳くらいから発症しやすいかも含めて、ここでは女性の脂質異常症についてご紹介します。
タイトル
脂質異常症は女性が要注意! 「脂質異常症と女性の関係」とは?

脂質異常症は60代以降の女性に多いが20~30代も油断できない
脂質異常症とは、血液中の脂肪値が高い状態のことです。
厚生労働省の診断基準(空腹時の血液)
- 悪玉LDLコレステロール値 140mg/dl以上
- 善玉HDLコレステロール値 40mg/dl未満
- 中性脂肪値 150mg/dl以上
このうち、どれか一つでも数値を満たすと「脂質異常症」と診断されます。
この脂質異常症は、年齢と性別に特徴があります。

なぜ女性は更年期を迎えると脂質異常症を発症しやすの?

一般的には、50代で更年期を迎える女性のホルモンサイクルと関係があると言われています。

ところが、閉経を迎えると、体内のエストロゲンの量が急に減少。これに伴い、血液中の悪玉LDLコレステロールや中性脂肪が急に増加するのです。このため、60代以降の女性は脂質異常症の確立が高くなると考えられます。
20代や30代の若い女性で見られる脂質異常症は?

割合は低いとはいえ、若い女性でも脂質異常症を発症する可能性があります。
脂質異常症のおもな原因
- 過食
- 運動不足
- 肥満
- 喫煙
- アルコール
- ストレス
こうした原因が考えられる場合、脂質異常症になる可能性は高いと言えます。
しかし、こうした生活習慣ではない人であっても症状が出ることがあります。そのひとつが、家族性高コレステロール血症です。

若い女性で脂質異常症を発症するのは特異な例と言えますが、20~30代の発症割合は全体の14%(男女合わせて)はありますので、血液検査で悪玉LDLコレステロール値や中性脂肪値が高かった場合は、すぐに医療機関に相談しましょう。原因を見つけ、すぐに改善するようにしたいです。
脂質異常症が引き起こす怖い病気&今日からできる7つの予防法!

脂質異常症を放っておくと動脈硬化症に
脂質異常症を放っておくと、動脈硬化症を引き起こします。動脈硬化症とは、動脈にコレステロールや中性脂肪などが溜まりやすくなることで、血液がスムーズに流れなくなります。動脈硬化が起こると、さまざまな臓器に影響を及ぼすことになります。
動脈硬化が引き起こす代表的な病気
- 心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患
- 脳梗塞や脳卒中などの脳の病気
- 大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症
いずれも命に関わる大きな病気です。脂質異常症を甘くみないよう、生活を改めたいものです。
いますぐ実践! 脂質異常症をやっつける7つの予防法とは?

脂質異常症は恐ろしい病気を引き起こすこともあります。コレステロール値が高い、中性脂肪値が高いと診断されたら、すぐに生活習慣を改善するべきです。でも、どこから改善していいのか迷いますよね?
でも、わりと簡単。日常の些細なことから始められます。
脂質異常症をやっつける7つの予防法

- 食べ過ぎない
- 野菜や食物繊維を積極的に摂る
- 砂糖や果物類、肉の脂身、バターなどをなるべく控える
- 大豆や青魚を積極的に食べる
- タバコをやめる&アルコールは少量に
- ストレスを溜めない
- 運動を適度に行う
7つの予防法は、ほんのすこしの努力と強い気持ちがあれば達成できるはずです。
脂質異常症と診断されるのは、とてもショックですよね。筆者も悪玉コレステロールと中性脂肪の数値が基準値を超えるので、気持ちは十分に理解できます。
不安はつきまとうものですが、「大きな病気を招くサインとして教えてくれた!」、「これを機に生活スタイルを一変しよう!」など、脂質異常症の発症を前向きに捉えてはいかがでしょうか。
【まとめ】
とくに60代以降の女性にとって、脂質異常症は身近で恐ろしい症状と言われています。だからといって、若い女性も男性も発症する症状ですので、年代に関わらず気を付けたいものです。
たったの7つですが、人によっては「難しい!」と感じるかもしれませんよね。1つずつでもきっと効果は出るはずですので、脂質異常症を改善する足掛かりにしてみましょう。
性別ごとに見ると、30~50代においては男性が女性のおよそ半数。60代以降になると男性の数も増え、男性は全体のおよそ25%、女性は31%ですが、「脂質異常症は女性に多い」のは明らかと言えるでしょう。