5人に1人が悩んでいる不眠症――。
そんな不眠症の対策を体の中から見直すなんて、意外なことだと思われる方は多いかもしれません。しかし、人間の体は食べ物を摂取することで作られています。ゆえに、体の機能に大きく影響を与えるのです。
眠れない不安を解消したいなら、まずは食べ物や飲み物など普段の食生活から見直してはいかがでしょうか。睡眠に関わりのある機能を高めることで、不眠症の改善につながる可能性きっとあるはずです。
ここでは、「不眠症対策に効果的な食べ物や飲み物」はもちろんですが、ツボ、漢方、アロマなど、不眠症対策のすべての選択肢についてご紹介します。
タイトル
効果的な食べ物、飲み物を摂取する前に、まずは生活習慣の基盤を整えたい
睡眠を誘う食べ物や飲み物の話の前に、まずは不眠症を改善するための生活習慣を見直してみましょう。
- 朝起きたら太陽の光を浴びる
最近では、紫外線の悪影響で、日光には悪いイメージがありますが、日光を浴びることで脳からセロトニンという物質が分泌され、これがメラトニンという睡眠を促す物質に変化します。セロトニンが分泌されてから13~15時間でメラトニンとなり、さらに2~3時間で睡眠レベルが高まるというサイクルです。ゆえに、朝に日光を浴びるのが重要なのです。
- 眠る2~3時間前のパソコンやスマホは控える
- アルコールもなるべく控える
メラトニンが分泌されている間に、日光を浴びる、食事を摂る、興奮するなどの刺激を与えると、分泌が抑えられてしまい、入眠しにくくなってしまいます。このため、眠る2~3時間前のパソコン、スマホ、テレビの使用は控え、アルコールを含む飲食も控えたほうがよいと言われています。
眠れない不安を解消したい! 不眠症対策に効果的な食べ物、飲み物とは
食べ物からでしか補給できないトリプトファン

セロトニンが睡眠に関わっていることがわかりましたが、セロトニンの材料になるのがトリプトファンです。必須アミノ酸のひとつで、体内で合成できないため、食事から摂らなければならない栄養素のひとつです。
トリプトファンを多く含む食品
- 肉類(牛が最もおすすめだが豚や鶏にも豊富)
- 魚類(カツオ、マグロの赤身、すじこなどがおすすめ)
- 豆類(ごま、油揚げ、納豆などがおすすめ)
- 乳製品(チーズが断トツ! 豆乳、ヨーグルトや牛乳もおすすめ)
- 種実類(くるみ、アーモンドなどがおすすめ)
- 穀物類(パスタ、お米、そば、そうめんなどがおすすめ)
- 果物(バナナ、イチゴ、パイナップルなどがおすすめ)
数値を見てみると、肉類、魚類が多く、豆類の中でも大豆にはかなりの量が含まれています。乳製品のうち、牛乳にも含まれていますが、大豆の方が圧倒的に含有量は高いため、きなこやナッツ類をまぜて、豆乳を飲むのがオススメ。

興奮を抑えるテアニンでリラックスを

テアニンとは、グルタミン酸エチルアミドのことで、茶葉に含まれています。緑茶のうまみ成分です。脳の興奮を抑え、神経を鎮めるため、不眠症に効果が期待できるとされています。
テアニンが摂れる飲み物
- 緑茶
緑茶にはカフェインも含まれており、覚醒作用がありますが、伊藤園(こちらの記事参照:https://www.itoen.co.jp/news/detail/id=24188)が発表した報告によりますと、テアニンによりカフェインの興奮作用は抑制されるとあります。したがって、緑茶も睡眠を導く飲み物のひとつとして考えられると言えそうです。

イライラや不安をGABAで取り除く

GABAとはGamma Amino Butyric Acid(γアミノ酪酸)のこと。頭文字を取ってGABA(ギャバ)と呼ばれています。これはおもに抑制性の神経伝達物質で、不安を抑え、睡眠を促進するなどの作用があると言われています。
GABAが摂れる食品
- トマト
- ジャガイモ
- ナス
生体内ではグルタミン酸から生合成されるため、小麦粉、カゼイン(牛乳やチーズなどに含まれるリンタンパクの一種)、大豆、かつお節、きなこなどのたんぱく質、落花生、アーモンドなどの種実類なども積極的に摂取するとよいでしょう。

ノンカフェインのハーブティも忘れずに

ヨーロッパで睡眠を誘うハーブティと言えばカモミールです。リラックス、消化促進、アレルギー症状の緩和など、その他、さまざまな作用で知られています。ただし、カモミールはキク科の植物なので、キクにアレルギーのある方は要注意。
おすすめのハーブティ
- カモミール
- ラベンダー
また、ポプリなどでも使われるラベンダーにもリラックスや快眠効果があると言われています。気分を変える効果のあるミントにも、気持ちを落ち着かせる効果が期待できます。

医療機関に頼りたくない! 不眠症対策に効果的なツボ、漢方、アロマ

セルフでも気持ちがいい、ツボで快眠を誘う方法
布団に入ってもなかなか眠れないとき、ちょっとツボを押して快眠効果が得られたら、スーッと眠れそうな気になりますよね。実は、睡眠に効果のあるツボが頭部や耳のすぐ後ろのあたりにあるんです。見つけやすいツボをいくつかご紹介しますので、ぜひ試してみてください。
- 「百会(ひゃくえ)」は、左右の耳と目の中心が交差する頭頂部。

頭頂部にある「百会」
- 「太陽(たいよう)」はこめかみのあたり。こめかみから、少し目尻に寄ったあたりにあります。

「太陽」のツボは、向かって右側の目尻の外側に
- 「天柱(てんちゅう)」は、首の後ろ、髪の毛の生え際に、2本の太い筋がありますが、その外側のくぼみにあります。

頭部と首のあいだくらいに「天柱」
ほかにもイラストにはありませんが、「安眠(あんみん)」は、耳の後ろにあって下に向かっている骨から、さらに指1本分下に下がったところに。
睡眠を妨げている原因を改善して眠りへと導く漢方

漢方では、不眠症は眠れないことではなく、満足できる睡眠が得られないこと。その原因は、体のバランスが悪くてうまく働いていないとし、崩れたバランスを整えることこそ、漢方の治療であると考えています。
したがって、精神的なストレスで、不安定、イライラなどの症状がある場合、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、不安や緊張を鎮めるのに効果的な加味帰脾湯(かみきひとう)、神経の高ぶりを落ち着かせ、リラックス効果を生む抑肝散(よくかんさん)、体の機能が活発すぎるため、体を冷やす作用のある黄連解毒湯(おうれんげどくとう)、心と体の状態をよくし、体力が低下した人につかわれる酸棗仁湯(さんそうにんとう)などがあります。

日常をちょっぴりオシャレしてくれるアロマを取り入れた生活へ

アロマと聞くと何だかステキなライフスタイルをイメージしませんか? 実際、日々の生活にアロマ=香りを取り入れることで、気持ちがリラックスし、ストレスから解放された生活を送ることができます。
アロマを取り入れたリラックス法をアロマテラピーと言い、おもに植物や果実から抽出された精油(エッセンシャルオイル)を使います。精油にはさまざまな種類がありますが、ここでは不眠症に効果が期待できる有名なものをご紹介します。
緊張や不安を取り除くと言われているラベンダー、緊張などをやわらげ、気持ちを落ち着かせるカモミールローマン、気持ちに活力を与えてくれる柑橘系のオレンジスイート、イライラや緊張から解放してくれるイランイラン、気持ちの落ち込みを安定させてくれるゼラニウムなどです。

それでもダメなら病院へ行くべきなの?

いろいろ試してみても、なかなか効果が見られない場合、医療機関に相談するのも手。ではどの病院へ行ったらいいのかという疑問が起こりますよね? まずは係りつけの先生に相談するのがベストですが、症状に応じて心療内科や精神科を紹介してくれるでしょう。

【まとめ】
ここでは、不眠症対策について「食べ物&飲み物」からアプローチしたほか、ツボ、漢方、アロマなど、体の外側から自然な形で睡眠へと導く方法も模索しました。さまざまな方法があって、どれも興味深いですよね。自分に合うものを積極的に取り入れて、不眠症を解消する足掛かりにしましょう。