便秘薬といっても種類はいろいろ。近所のドラッグストアで購入する際、どれを選んだらいいのか、迷ってしまいますよね。
便秘薬をひもといてみると、腸に刺激を与えて動きをよくする刺激性下剤と、水分などを増やして便を柔らかくする機械性下剤に大別することができます。刺激性下剤には、大腸を刺激するアントラキノン系とジフェニルメタン系、小腸を刺激する小腸刺激性下剤があります。一方の機械性下剤は、膨張性下剤、塩類下剤、糖類下剤、潤滑性下剤などと分類することができます。
ちなみに、大腸刺激性下剤のアントラキノン系の便秘薬は、多くの市販の便秘薬に該当しますが、長い間飲み続けると、大腸メラノーシス(大腸の黒ずみ)が起こり、便秘を悪化させることも。服用するうちにその刺激に慣れてしまい、効かなくなるという問題が起こることもあります。
つまり、「市販の便秘薬選びは難しい!」と言いたいのですが、便秘の人はそれぞれの便秘薬の特徴について知っておいて損はないはずです。
どんな効き方をするのか――これを知っているだけでも自分に合うか、合わないかの判断になるかもしれません。ここでは、街のドラッグストアで購入できる便秘薬をわかりやすくご紹介します。
タイトル
刺激性下剤は習慣性があるので注意が必要も即効性は強い!?

多くの市販薬がこれ! アントラキノン系の大腸刺激性下剤
大部分の市販薬が、アントラキノン系の大腸刺激性下剤に該当します。センナ、アロエなどの植物由来の成分が大腸を刺激して、排泄を促します。少量であっても刺激が強く腹痛を伴うことも。長期間、服用すると、刺激に慣れてきて効果を感じなくなるので、常用は禁物です。
前述しましたが、アントラキノン系下剤は、大腸メラノーシスを引き起こします。腸内の黒ずみが腸の動きを鈍らせるため、便秘が悪化してしまうことも。さらに、子宮を収縮する原因にもなるため、妊娠中の服用はNG。植物由来というイメージに惑わされないようにしましょう。
おもな市販薬:コーラック、ビューラックA、スルーラックデトファイバーなど
アントラキノン系よりもソフト。ジフェニルメタン系の大腸刺激性下剤
腸の粘膜に対して効果を発揮するピコスルファートナトリウム、ビサコジルなどの化学合成成分によって便秘を解消するという便秘薬。体へのダメージはさほど強くはないものの、腸を刺激しているため腹痛を伴いながら便を促します。
アントラキノン系の大腸刺激性下剤に比べると常用性は低いものの、使い続けると腸が刺激に慣れてしまうため、常用はNGです。

おもな市販薬:コーラックソフト、ビオフェルミン、サトラックスエース
小腸を刺激して自然に排泄を促進する小腸刺激性下剤
現在ではあまり使われることがなく、薬局での扱いが少ないという小腸刺激性下剤。トウゴマの種子から採取される植物油の一種であるひまし油のほか、オリーブオイルなどがこれに該当します。
小腸刺激性下剤は、大腸の手前にある小腸を刺激することで、排泄を促します。また排便だけではなく、デトックス効果のほか、打撲やねんざにも効果があると言われています。
ひまし油やオリーブオイルは植物性オイルのため副作用などがないように思われますが、摂取すると嘔吐や腹痛などが起こることもあります。薬を飲みたくないという方は、スプーン1杯程度の量で、体と相談しながら使っていくといいのかもしれません。
ただし、ひまし油は陣痛を早める作用があると言われています。妊娠中の使用は避けましょう。

市販されている商品:ひまし油、オリーブオイルなど
機械性下剤は、便の水分を増やしたり量を増やしたりして蠕動運動を促進

食物繊維の力で便をやわらかくする膨張性下剤
小食の方は腸に便がたまらないため、腸は便を出す必要がないと思い込んでしまいます。この状態が長く続くと、便秘になってしまいますよね。こういう場合に効果を発揮するのが膨張性下剤です。
膨張性下剤は、プランタゴ・オバタ、小麦ふすま、寒天といった食物繊維の力を使って便を柔らかくし、カサを増やすことで便通を促がします。腸の蠕動運動が刺激され、自然なお通じへと導くというわけです。
この膨張性下剤は、刺激性下剤のような危険性がなく、常習性もありませんが、即効性はあまりありません。効果が現れるのに時間がかかるので、急を要する症状の方にはオススメできません。また、人によってはおなかが張ったり吐き気をもよおしたりすることもあるため、心配な方は医療機関に相談しましょう。

おもな市販薬:ウィズワン、サトラックス
腸内に水分を集めてお通じを促す塩類下剤
塩類下剤とは酸化マグネシウムなどの便秘薬のこと。これは、酸化マグネシウムが胃の中で胃酸と反応し、塩化マグネシウムと水に化学反応を起こすため、塩類下剤と分類されます。
この塩化マグネシウムは腸内で浸透圧を上げる働きをするため、腸内に水分が増え、便をやわらかくします。常用性はありませんが、長期服用していると、高マグネシウム血症になる恐れがあるため注意が必要です。

おもな市販薬:3Aマグネシア、ミルマグ、スラーリア
糖類下剤は安心して服用できるけれど糖尿病の方はNG
ラクツロースや麦芽糖などの糖類により腸内の浸透圧を高めて水分を集め、便を柔らかくします。糖類下剤は腸内で善玉菌によって分解されるため、腸内環境をよくし、便通を促します。
赤ちゃん用の便秘薬として知られているマルツエキスもこの分類。妊娠中の方や高齢者も安心して服用できます。ただし、糖尿病の方が服用すると、血圧降下につながることがあるため、使用はNGです。

おもな市販薬:マルツエキス
界面活性剤で便をスムーズに排出させる潤滑性下剤
便の表面に水分や油分を含ませることで便をスムーズに排出する薬が潤滑性下剤です。おもな成分はジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS)などの界面活性剤ですが、多くの場合、大腸刺激性下剤と混合されているため、腹痛を伴うことがあります。このため、妊娠中の方などは使用しない方がベター。

おもな市販薬:コーラック2、スルーラックプラス
【まとめ】
今回は市販で販売されている便秘薬について調べてみました。どのような成分で、どのように効果を発揮するのか、お分かりいただけましたか?
- 即効性に期待したい
- 自然の力に頼りたい
- ゆっくり便秘を改善していきたい
- 病院でもらう便秘薬に近いものがいい
いろいろなタイプの便秘薬がありますよね。即効性のある薬にはさまざまな副作用が起こることもあり、副作用があまり起こらない薬は即効性がありません。医療機関に任せるのもいいですが、ご自身で便秘の症状を分析して、「どの薬が自分に合っているのか」を把握して損はないでしょう。
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