ノロウイルスは感染力がとても強い病原体です。家族が感染して、ウイルスの凄まじさを驚異に感じたことがある人は多いでしょう。
そんな時に迷うのが、嘔吐物や便などで汚れた衣類の処理について――です。正しく対処しないと、感染を広げてしまいますからね。
ここでは「家族が感染した場合の洗濯はどうする?」といった素朴な疑問をはじめ、ノロウイルスの症状や潜伏期間などについてご紹介します。
タイトル
家族がノロウイルスの疑いで嘔吐! 洗濯時に注意すべき3ポイントとは?

ノロウイルスは塩素系の消毒剤が苦手!?
「家族が嘔吐した! 洋服や布団のシーツが汚れた! ノロウイルスが原因!?」
家族と一緒に暮らしていると、このような事態は少なからず経験するものですが、皆さんはこのシチュエーションでどのような対処をしていますか?

まさか、このような軽率とも言える対処はしていないでしょうが、あらためてノロウイルスは感染力がとても強い病原体。素手やマスク不着用で嘔吐物が付いた洋服を洗濯するのは「うつしてください」と言っているようなものです。

ノロウイルスに感染した時の衣類は、嘔吐物や便がついていなくても消毒するのが一般的。目に見える汚れがないために、消毒せず他の衣類と一緒に洗ってしまうと汚染が広がる可能性が高まります。ノロウイルスは洗剤で洗うだけでは死滅しないのです。
洗濯時に注意すべき3ポイント

- ゴム手袋、マスク着用で嘔吐物を落とす
- ハイターなどの塩素系消毒液につける
- 念のため、単独で洗濯する
ノロウイルスは次亜塩素酸ナトリウム(塩素系消毒剤)で消毒すると死滅するので、面倒でも必ず塩素系消毒剤で行いましょう。
トイレには薄めた消毒剤がおすすめ

トイレや洗面所の除菌も必ず行ったほうがいいですが、キッチン用や洗濯用をそのまま使うには濃すぎます。
現在はトイレ用の塩素系消毒剤も売っていますので、手元にあればそれがベストですが、なければキッチン用や洗濯用を100~250倍程度に薄める方法もアリ。そのまま使うと便器をいためる可能性があるため、うすめた消毒液をつくるのがおすすめです。
500mLのペットボトルを用意し、それに水を少し入れ、ペットボトルの3分の1程度の次亜塩素酸ナトリウム(塩素系消毒剤)を入れてよく混ぜます。その後、ペットボトルいっぱいまで水を注ぎ完成です。
次亜塩素酸ナトリウムの消毒液で、手が荒れる可能性もあるため、使い捨てのゴム手袋をつけると安心です。ノロウイルスの感染防止にもなります。
ノロウイルスの症状と潜伏期間エトセトラ

ノロウイルスの症状は、大人と子供では違うの?
ノロウイルスに感染すると、一般的には微熱が出ます。そして、吐き気や嘔吐、腹痛などの症状が徐々に出始めます。また、嘔吐や下痢の影響で脱水症状が出ることがあるので注意が必要です。
大人と子供では症状に違いがあるのか気になりますよね。
一般的には、大人も子供も下痢や嘔吐といったノロウイルスの症状は変わりません。しかし、症状の強さや発症期間に違いがあると言われています。大人の場合は回復までの期間が1~3日と子供より短いですが、嘔吐や下痢といった症状が子供よりも激しくなりやすいと言われています。
一方の子供の場合、症状は比較的軽いと考えられていますが、大人と比べると体力がないので、回復までの期間が大人より長く1週間くらいかかることもあります。
潜伏期間は1~2日程度

潜伏期間とは、ウイルスが体内に入ってから症状を発症するまでの期間のことです。ノロウイルスの潜伏期間は1日~2日程度といわれています。
ちなみに、筆者の経験談ですが、家族のひとりが夜9時に嘔吐と下痢を発症。「おそらくノロウイルスだろう」という結論になったのですが、翌晩9時に筆者が嘔吐と下痢に見舞われました。体内にウイルスが入って、わりと早い段階で症状が現れた印象です。
何日間くらい気を付けたほうがいい?
ウイルスが体内に入って1~2日くらいで、発熱、嘔吐、下痢などの症状を発症し、数日で回復しはじめます。そして、通常は発症後1週間程度でウイルスの感染力が弱くなり他人へうつりにくくなります。
とはいえ、2~3週間程度はウイルスが体内で活動的な場合もあるので本人も周りも注意が必要でしょう。
ノロウイルスはどのようにして他人にうつるの?

カキ、ホタテ、ハマグリといった二枚貝に要注意。食べた当時の体調や免疫力とも関係があるというデータも
ノロウイルスの病原体は、基本的には口から感染します。
- 食品を介した感染
- 接触感染
- 飛沫感染
ノロウイルスに汚染された食品を、生の状態や十分に加熱しない状態で食べた場合や、 手にウイルスが付着した状態で調理することで、その汚染された食品を介して感染する場合があります。 食品の中ではカキのような二枚貝に含まれていることが多いです。家族で料理担当の人は、調理前の手洗いで感染させないよう注意が必要です。
前述しましたが、感染した人の嘔吐物や便に触れ、ウイルスが手に付着し、それを介してウイルスが口に入る場合があります。また、感染した人の手に付着しているウイルスが、ドアノブなどに付着し、それを触ることで手が汚染され、ウイルスが体内に入ってしまう場合もあります。たとえば、赤ちゃんが下痢を発症していて、お父さんやお母さんがおむつ交換を行う際も注意が必要です。
飛沫感染にも要注意で、感染した人の嘔吐物や便が飛び散ったとき、処理が不十分だと、ウイルスが空気中に漂い口から入る場合があります。
ちなみに、ノロウイルスは1年中発生しているウイルスです。感染数は圧倒的に秋~冬にかけてが多いですが、春や夏でも感染する場合がありますので通年で油断できません。
ノロウイルスに感染した時の洗濯方法【まとめ】

ノロウイルスは非常に厄介な病原体です。流行時期もありますのでとても怖いですが、たとえ家族がなってしまっても、衣類の洗濯やトイレの除菌など適切に行い、ウイルスが体内に入らないよう工夫することで感染を防ぐことができます。
- ゴム手袋、マスク着用で嘔吐物を落とす
- ハイターなどの塩素系消毒液につける
- 念のため、単独で洗濯する
家族の二次感染を防ぐべく、面倒でも適切な処置を行いましょう。