夏に流行する病気や感染症の種類を調べて分かった驚きの事実とは?

冬場は寒さのせいで免疫力が低下して体調を崩しやすいもの。インフルエンザやノロウィルスなど怖い感染症もたくさんあります。一方の夏場も様々な病気や感染症があるのはご存知でしょうか。

これから暑くなると、子供たちにとっては待ちに待った夏休みが始まります。大人たちも暑くなるとレジャーなどで出掛ける機会が増え、夏の病気や感染症に掛かる可能性は高まるでしょう。

実際に夏になるとどんな病気になりやすいのか――。ここでは夏に流行する病気や感染症などについて詳しくご紹介します。

【夏風邪】は大人も子供も気を付けたい代表的な夏の病気

一度かかるとなかなか治りにくいといわれる夏風邪。大人も子供も気を付けたい代表的な夏の病気です。一般的な風邪は寒くて乾いた空気を好みますが、夏風邪のウイルスは高温でジメジメした環境で増殖します。夏風邪のウイルスは感染力が強く、それによって様々な感染症を引き起こしてしまうこともありますから注意しましょう。

夏風邪の症状|下痢や嘔吐のほかには? 

夏風邪の主な症状

  • 下痢
  • 嘔吐
  • 発熱
  • のどの腫れ、痛み
  • 脱水症状

夏風邪のウイルスはお腹の中で増殖する場合が多く、体外に排出されるまでに時間がかかるため、どうしても治りが遅くなります。下痢や嘔吐の症状が見られたときは、夏風邪にかかっている可能性が高いと言えるでしょう。

夏風邪の対処法|早く治すには、睡眠と食事がカギ

睡眠

夏風邪を少しでも早く治すには、体力と免疫力をつけることが肝心です。まずは十分な睡眠を取るようにしましょう。なかには「エアコンは体が冷えるから控えたほうがいい」と言う人もいますが、それは違います。暑さのせいで寝苦しくなり、睡眠を妨げてしまっては意味がありませんから、適度にエアコンを利用してしっかりと睡眠を取りましょう。

食事

栄養のある食事を摂ることも重要です。とはいえ、下痢や嘔吐があるときにスタミナ食は逆効果ですから、できるだけ柔らかく刺激の少ない物を食べるようにしてください。おかゆ、うどん、ゼリー、豆腐などが食べやすいでしょう。また、下痢をしていない場合はアイスクリームを食べても構いません。乳製品は体にプラスになりますし、冷たいものが喉の痛みをやわらげる効果もあると言われています。もちろん食べ過ぎにはくれぐれも注意しましょう。

また、下痢による脱水症状を改善するためにも、水分補給は欠かさないように。その際、あまり冷たい飲み物はひかえ、常温のミネラルウォーターやスポーツドリンク、経口補水液を飲むことをおすすめします。

市販の風邪薬を服用するのも効果的ですが、それだけでは十分な効果は得られません。肝になるのは、やっぱり十分な睡眠と栄養のある食事です。

【感染症】は免疫力の弱い子供はもちろん、大人でも要注意!

夏は感染症にも注意が必要です。夏風邪を引き起こす代表的なウイルスに「エンテロウイルス」と「アデノウイルス」がありますが、免疫力の弱い子供や、大人でも何らかの理由で免疫力が低下している場合には、感染症を引き起こしてしまうことがあるのです。

ヘルパンギーナ

4歳以下の小さな子どもがかかりやすい夏風邪の一種です。夏風邪のウイルスが原因で引き起こされ、ジメジメした梅雨の時期から流行しはじめます。

39~40度くらいの高熱が出ると同時に、のどの奥が真っ赤になり、プツプツとした白い水疱ができます。これにより、唾を飲み込むのもつらいほど、のどが痛くなるのも特徴です。

ヘルパンギーナは根本的な治療法がないため、薬で痛みを抑えながら1週間ほど安静にすることで改善に向かいます。のどの痛みで食事ができなくなることもあるので、ひどい場合は点滴治療が必要になります。

手足口病

夏風邪から引き起こされる感染症で子供に多く見られます。微熱や食欲不振から始まり、手のひら、指の間、脚、足の裏、ひざ、舌、唇、口の中などに赤い発疹が現れます。赤ちゃんの場合は、おしりにも出ることがあります。38度以上の高熱が出ることは少ないようです。

手足口病もこれといった治療法はありません。安静にし、口内炎による痛みを和らげながら自然な回復を待つしかありません。

プール熱(咽頭結膜炎)

7~8月がピークといわれる夏風邪の一種です。プールで感染することが多いことから、このような名前で呼ばれるようになりました。

39度前後の高熱と、のどの痛み、結膜炎などが特徴的な症状ですが、頭痛や嘔吐、下痢などの症状をともなうこともあります。感染力が強いため、学校保健法で「主要症状が消失した後、2日経過するまでは登校できない」と指定されています。

プール熱は、のどの粘膜や血液から検査することができますから、前述の症状が出たら医療機関を受診しましょう。プール熱もやはり特別な治療法はないので、対症療法を行いながら安静を保ち、改善を目指します。

流行性結膜炎

夏風邪のウイルスである「アデノウイルス」が原因です。

目やにと結膜の充血が見られます。感染力が強く、乳児がかかると風邪の症状を伴うことがよくあり、発熱やリンパ節の腫れなどが見られることもあります。季節に関係なく感染する可能性がありますが、特に夏はプールなどで人と接触しやすい季節なので気をつけることが大切です。

リンゴ病

「パルボウイルスB19」というのが主な感染源だといわれています。

子供に見られる病気でせき、鼻汁、微熱など軽い風邪の症状が出ます。その後、赤い発疹がほおの辺りに出てきて、それが手足にまで広がることがあります。予防接種では感染を防ぐことができないので、症状が現れた場合は医療機関を受診し、治療を受けましょう。

風疹

「風疹ウイルス」による感染から起きます。

春から夏の終わりにかけて多発し、胸から顔に発疹が広がり、リンパ腺が腫れるのが特徴です。発熱を伴い、だいたい4~5日で症状は引いていき、2週間ほどかけて感染期間が終わるといわれています。症状が引くまでは仕事や学校を休むようにしてください。

また、妊娠中に風疹にかかると障害をもった子どもが生まれる確率が高くなるとされているので十分な注意が必要です。

水イボ

ウイルス感染による良性のイボです。プールなどで感染することがよくあります。正式な病名は「伝染性軟属腫」といい、そのほとんどは自然に治るといわれています。一度かかると免疫ができるので、再発することはありません。家庭でできる対処法としては、消毒液やイソジン軟膏などを塗り、2~3日して白い芯が出てきたところをピンセットでつまんで取り除く方法があります。

伝染性と呼ばれていますが、露出した肌と肌が接触しなければうつることはありません。

【食中毒】は気温や湿度が高くなる梅雨時期から夏場に要注意

夏になると食中毒を引き起こす確率も高くなります。食中毒の約9割は細菌やウイルスが原因です。食中毒を引き起こす細菌の多くは、20度くらいの室温で活発に増え始め、人間の体温くらいの温度になったときに増殖のスピードが最も速くなります。

また、細菌の多くは湿度の高い環境を好みますから、気温も湿度も高くなる梅雨の時期には、細菌の増殖を活発化させる条件がそろい、食中毒が増え始めるのです。

O-157(腸管出血性大腸菌)

加熱が不十分な食材から感染し、少ない菌でも発症します。感染症や食中毒を起こす毒性の強い細菌です。

感染してから4~8日後に下痢や腹痛、発熱などの症状が現れます。ひどくなると尿毒症や意識障害を起こすこともあります。低温には強く冷蔵庫内でも生きていますが、加熱に弱い菌なので、中心温度を75.1℃以上に加熱することで予防できます。

もともと家畜の大腸に生息しており、家畜の糞便から水や食べ物を介して人に感染し、人から人へと感染します。生レバーなどには特に注意が必要です。

カンピロバクター

汚染された水や食品、細菌を持っている動物との接触によって感染します。牛や豚、鶏などの家畜が細菌を持っていることがほとんどですが、中には犬や猫などのペットが持っている場合もあります。カンピロバクターは、65℃で1分間加熱することで死滅させることができます。

感染から発症まで2~7日ほどの潜伏期間があります。発熱、倦怠感、頭痛、めまい、筋肉痛などの症状が現れ、次に吐き気や腹痛におそわれます。重篤になるとギラン・バレー症候群を発症することもある怖い細菌です。人間への感染源としては鶏が最も顕著であると考えらえているため、生の鶏肉を食べる際には特に注意が必要です。

サルモネラ

サルモネラ菌は主にヒトや動物の消化管に生息しています。牛や豚、鶏などの家畜が細菌を持っていることが多いですが、犬や猫などのペットも持っていることがあります。

感染すると半日から2日で発症し、腹痛、嘔吐、下痢、発熱など、風邪とよく似た症状が現れます。肉や卵を食べる際はじゅうぶんに加熱し、ペットに触れた後はよく手を洗うようにしましょう。日本における食中毒の1~3割がサルモネラ属菌といわれています。

黄色ブドウ球菌

身近なところでよく見られる菌です。健康な人ののどや鼻の中、動物の皮膚や腸管、ホコリの中など、あらゆるところに存在しています。様々な食べ物の中で増殖し、「エンテロトキシン」という毒素によって吐き気・嘔吐・腹痛などの症状を引き起こします。感染すると、30分~6時間(平均3時間)で発症します。

「エンテロトキシン」は熱に強く、加熱しても毒性が消えることはありません。予防のためには食品内での菌の増殖を防ぐことが肝心です。手や指に傷があるときは調理をしない、調理の前にはしっかりと手を洗う、などを心掛けてください。黄色ブドウ球菌による食中毒は5~10月に増加するので、夏場は特に注意が必要です。

食中毒を予防するための3原則|付けない、増やさない、やっつける

食中毒になる原因は身近なところにたくさん潜んでいます。感染してしまうとかなりやっかいなものです。以下の3原則を守って、しっかり予防してください。

付けない

細菌やウイルスを食品に付着させないことが大切です。

  • こまめに手を洗う
  • 肉や魚を切るときは使用する度に包丁やまな板を洗剤で洗う
  • 肉や魚の汁が他の食品に付着しないように分けて保存する

増やさない

細菌の多くは10℃以下で増殖のペースが落ち、-15℃以下で増殖が停止します。

  • 生鮮食品はすみやかに冷蔵庫に入れて冷やす
  • 冷蔵庫内の温度上昇を避けるため、冷蔵庫のドアを開ける時間を短くし、冷蔵庫に食品を詰め込み過ぎない
  • 差し支えない場合はできるだけ冷凍保存する

やっつける

ほとんどの細菌やウイルスは加熱によって死滅します。

  • 食品を加熱調理し、生食は控える
  • 肉や魚、卵を調理した調理器具は熱湯処理をする
  • 調理器具を台所用殺菌剤で殺菌する

【熱中症】は暑い夏ならでは! 老若男女に関わらず要注意

暑い夏ならでは病気として熱中症が挙げられます。屋外にかぎらず室内であっても熱中症になることはあります。とくに体力のないお年寄りは注意が必要です。熱中症と一口に言っても、具体的にはどんな症状があるのでしょうか。対処法も気になりますよね?

めまい・立ちくらみ

熱中症の最初のサインです。クーラーの効いた屋内や涼しい日陰で休ませ、衣服を緩めて風通しをよくします。さらに体を冷やして、適切に水分を補給すれば多くの場合は改善します。

筋肉痛・筋肉のけいれん

こまめな水分補給は大切ですが、水分だけを補給することがかえって熱中症による熱けいれんを引き起こす原因にもなりかねません。汗をかきやすい状況ではスポーツドリンクなど、塩分を同時に補給できるものを飲みましょう。

その他(異常な発汗や吐き気など)

体がだるい、吐き気がする、異常なくらい大量に汗をかく(もしくはまったく汗をかかない)、皮膚が赤く乾いている、呼びかけに反応しない、まっすぐ歩けない…。そのような症状が見られたときには、すぐに救急車を呼ぶなり、医療機関を受診してください。症状を重篤化させないためにも、早急な対処が必要です。

夏の病気や感染症などまとめ

夏風邪、感染症、食中毒、熱中症など、夏に掛かりやすい病気や感染症がこんなにたくさんあったことに驚かれた人もいるでしょう。

免疫力が高まっているときは大丈夫でも、「寝不足だな」、「すこし食欲がないな」、「疲れ気味だな」など、ちょっとした身体の変調から一気に体調を崩してしまうのが夏の病気や感染症の怖いところです。

  1. 手洗い・うがい
  2. 十分な睡眠
  3. きちっとした食事

「身近な対策をしっかりやるだけで、ある程度は風邪や感染症を防げる」というのが定説です。最低限できることを普段の生活から心掛けて、暑い夏場を乗り切りましょう。

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