暑中見舞いと残暑見舞いの違いは何? どっちを誰に渡せばいいの?

毎年6月になると、近所の郵便局に「かもめ~る」ののぼりが上がります。日本郵便が販売する「くじ付き暑中・残暑見舞いはがき」です。まだまだ夏本番には遠い時期ではありますが、こののぼりを見ると、「今年もまた夏がやってきたのだなあ」と思ってしまうものです。

暑中見舞いと残暑見舞の違いは何?

「暑中・残暑見舞いはがき」と書きましたが、暑中見舞いと残暑見舞いって、そもそもどんな違いがあるのでしょうか? 昨今は挨拶状の代わりにSNSやメールを使ってメッセージを送る方が多くなり、とくに若い世代にとっては手書きの挨拶状は馴染みが薄いものになっているはずです。

それでもやはり、「大切な相手には手書きの挨拶状を送りたい」と考える方も少なくないでしょう。ここで今いちど、昔からの日本の風習のひとつである暑中見舞いと残暑見舞いについて見直してみるのもいいかもしれません。

暑中見舞いは「土用」

暑中見舞いと残暑見舞いの違いは何か? ずばり「時期」が違います。それぞれの挨拶状を送る時期に違いがあるのです。これは「暑中」と「残暑」という言葉から何となく察しが付くかと思います。では、具体的にどう違うのか見ていきましょう。

暑中見舞いを送るのは「土用の時期」がベストですが…

暦の上での「夏」は、立夏(5月5日)から立秋前日(8月6日頃)までを指します。

中でも夏の暑さが最も厳しくなる土用の時期の約18日間(7月19日~8月6日頃)を「暑中」と呼びますから、この時期に暑中見舞いを送るのが本来はピッタリなのかもしれません。

しかし年々、地球温暖化により猛暑の期間が長くなってきていることを考え、「もう少し“暑中”の間隔を広く取ってみてもいいのでは?」という傾向が最近ではあるそうです。

たとえば、だんだんと暑さが体に堪えはじめる小夏(7月7日)から立秋前日(8月6日頃)までを暑中見舞いの時期と考えれば、ちょうど「梅雨明け」がひとつの目安になり、送るタイミングもつかみやすいのではないでしょうか?

ただ、梅雨明けを目安に暑中見舞いを送る場合、ひとつ注意しなければならないことがあります。地域によって梅雨明けの時期が異なるということです。東北北部と沖縄では、一か月以上も時期がずれます。天気予報などをチェックし、暑中見舞いを送る相手の居住地に合わせてタイミングを見図りましょう。

暑中見舞いは土用の時期がベストで、しかも梅雨が明けていたら◎

残暑見舞いは「立秋から8月末」

残暑見舞いは夏の終わりに送る挨拶状で、一般的には立秋(8月7日頃)から8月末頃に送るのがよいとされています。立秋とは字のごとく「秋の始まり」を表し、この立秋以降、8月末頃までの暑さの残る時期を「残暑」と呼んでいます。

ただ、最近は9月や10月になっても暑い日が続くことが多くなり、「残暑の期間が長くなっているから8月中に送らなくてもいいんじゃないの?」と思ってしまう方もいるかもしれません。

しかし、それは間違いです。季節の挨拶状というのは原則として暦が基準となっていますから、その時期から大きく逸れるのは好ましくありません。

残暑見舞いは必ず8月末頃までに送りたい。

書き方に決まりはある?

書き方ですが、これといって堅苦しい決まり事などはありません。書くときのポイントとしては以下の3点を押さえておけば大丈夫です。

  1. 季節の言葉を入れる。「暑中お見舞い申し上げます」「残暑お見舞い申し上げます」など。
  2. 相手の健康をたずね、自分自身の近況についても伝える。できるだけ無駄な前置きなどを入れずに必要なことだけを簡潔にまとめる。
  3. 日付を入れる。年月だけでもいいですが、暑中見舞いは「平成29年 盛夏」、残暑見舞いは「平成29年 晩夏」とするパターンが多いです。

他に、文中では、まず相手のことを書き、そのあとで自分のことを書きます。また、相手が不快に感じることや失礼にあたることを書いてはいけないのは当然です。暑中見舞いと残暑見舞い、どちらも基本的な書き方は同じですが、状を送る時期に見合った季節の言葉、季節の変化などを文中にさりげなく入れておくとベターでしょう。

はがきにデザインやイラストを入れてみる

「文章を書くだけではちょっと味気ない」と思う場合は、はがきにイラストを入れたり、ちょっとしたデザインを施してみるのもいいでしょう。

日本郵便が販売している「かもめ~る」には最初から夏らしいイラストが印刷されているものもあり、それを使うのもいいかと思います。また、日本郵便のホームページでは、はがきデザイン用のテンプレート素材、文例集が無料でダウンロードできるようになっていますから、それを利用すれば、希望するシーンに合わせたデザインはがきが簡単に作れてしまいます。ぜひ利用してみてはいかがでしょうか。

どっちを送ればいいの? 送る相手は?

暑中見舞いと残暑見舞いの違いについて解説してきましたが、では、一体どちらを送ればいいのでしょうか? 両方? それとも、どちらかひとつ?

答えは「どちらか片方だけ送る」です。

両方とも送るのはタブーというわけではありませんが、「暑中」と「残暑」という短い期間に2度も挨拶状を送ってこられた側の気持ちになってみると、なんだか面倒くさい気がしないでもありません。季節の挨拶状というのは、相手の健康をたずね、自身の近況を伝えたりするために書くもの。気遣いとして両方送ったつもりが、相手に負担を掛けては本末転倒ですよね。時期を選んで、どちらか片方だけを送るようにしましょう。

誰に送っても問題なし

結論から言うと自分と関係のある相手であれば誰に送っても問題ありません。日頃からお世話になっている方に感謝の気持ちを添えるのもよし。しばらく会っていない友人に近況を伝えたり、安否や健康についてたずねるのもいいでしょう。また、新年に年賀状を送るのを忘れていた相手に、この時期に挨拶しておくのもいいかもしれません。

送ってはいけない場合などはあるの?

原則としてありません。暑中見舞いや残暑見舞いは相手を気遣うための挨拶状ですから、例えば自分が喪中のときや、喪中の相手に送るのも問題ありません。ただし、喪中の相手に送る場合、四十九日が明ける前に送るのは控えたほうがよいとされています。

 

暑中見舞いと残暑見舞いの違いまとめ

暑中見舞いと残暑見舞いの違いについて、ざっと解説してきましたが、お分かりいただけましたか?

「それぞれ送る時期の違い」「どちらか片方だけを送るのがよい」というのがポイントになります。

SNSやメールで手軽にメッセージを送信するのもいいですが、年に一度くらいは、はがきに自筆の文章をしたためてみるのも一興かもしれません。

燦々と輝く真夏の太陽を感じながら暑中見舞いを書く――。あるいは晩夏の夕立のあと、蝉の音も止んだ静けさのなかで残暑見舞いに筆を向ける――。どちらも日本らしい風情だと思います。今年の夏はぜひ、手書きの挨拶状にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

 

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