脇の汗がたくさん出る症状を「腋窩多汗症」と言います。もちろん、れっきとした病気です。
あなたは脇の汗に悩んでいますか? 「真夏の暑い日だけ出る」という人は悩んでいるうちに入らないかもしれません。「脇の汗を止めたい」と本気で思っている大半の人は、季節に関係なく出続けています。
腋窩多汗症は全国に200万人以上の患者さんがいます。割合は人口の5%と言われ、筆者もそのうちのひとりです。振り返れば中学生の頃からワキ汗に悩み、人前では手を挙げられずいつも周囲の視線を気にしていました。この恥ずかしさは、同じ悩みを持つ人でないと分からないでしょう。
そんな腋窩多汗症を一時的に抑えるボトックス注射が2012年11月から保険適応になりました。それまで10万円前後だった治療費が3万円以内の負担になったのです。筆者はその事実を2016年に知り、すぐに試してみることにしました。
タイトル
脇の汗を止めたい人は必見|保険適応になった腋窩多汗症の注射を体験

まずは腋窩多汗症のボトックス注射を行っているクリニックを検索
「よし、ワキ汗を止める注射を打とう」と決めて最初に行ったのが病院やクリニックの検索です。ネットで「地名(最寄りの駅名) 腋窩多汗症 注射」で調べると、隣駅も含めて3つのクリニックの名前が出てきました。自宅から最も近いクリニックに決めて電話すると……。
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飲み薬については完全にスルー。注射を打つ(打ちたい)思いは揺るがないので、翌日クリニックに来訪することにしました。

ここで新たな事実が判明します。実は腋窩多汗症のボトックス注射は誰でも打つことができないのです。重度の原発性腋窩多汗症の人しかボトックス注射を受けられません。
原発性腋窩多汗症の診断基準
(※このうち2項目を満たすと原発性腋窩多汗症と診断されます)
- 両方のワキに多量の汗をかき、左右の量は同じくらいである
- ワキに多量の汗をかくことにより、日常生活に支障がある
- 週1回以上、ワキに多量の汗をかくことがある
- 最初に症状が見られたのは25歳未満のときである
- 家族・親戚のなかに、同じような症状のある人がいる
- 睡眠時は、ワキに多量の汗をかくことはない
ちなみに、筆者は4項目に該当。正真正銘の原発性腋窩多汗症です。あとは「重症なのか、軽症なのか」を見極める必要があります。
重症度の診断基準
(※3以上で「重症」に認定されます)
- 発汗は全く気にならず、日常生活に全く支障がない
- 発汗は我慢できるが、日常生活に時々支障がある
- 発汗はほとんど我慢できず、日常生活に頻繁に支障がある
- 発汗は我慢できず、日常生活に常に支障がある
数字が上がるにつれて重症度は増します。筆者は4でした。
ボトックス注射は効かない人もいるの!?
筆者は、晴れてボトックス注射を打てる権利を得ます。今度は施術前のカウンセリングです。


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ほかに「ボツリヌス菌」、「当日は車で来院しない」、「稀にアレルギー反応が出る」といったことの説明を聞き、同意書にサイン。受付で初診料の850円と前金(薬代)の3万円を支払い、次回の来院日を告げて帰宅しました。
腋窩多汗症のボトックス注射を打ったリアルな感想と効果

意外と痛かったボトックス注射
施術台のベッドに仰向けになり、脇の下を十分に消毒してから注射が始まります。
先生から「片方30~40カ所だと思います」という言葉があってスタート。
痛みは個人差があるでしょうが、筆者は「かなり痛い」というのが本音。注射の針をチクッと刺した時の痛みです。片方30~40カ所ですから、なんとなく想像できますよね? 目を閉じて、息を吐きながら耐えていました。時間は左右合わせて10分ほど。正確なタイムを計ろうと挑みましたが、忘れてしまうほど強烈です(苦笑)。「ワキ汗が止まるなら……」と呪文のように心の中で繰り返していました。脇の下の面積によって注射を打つ回数が変わるそうなので、たとえば筆者(身長168センチ、体重68キロ)よりも小柄な人はもっと早く終わるかもしれません。
初診料 | 850円 |
再診&薬代&施術費用 | 26,870円 |
合計 | 27,720円 |
筆者は国民健康保険なので負担率は30%です。もちろんお釣りは返却してもらえます。
筆者の場合、生活の支障はありませんでした。注射の痛みもその時だけ。クリニックを後にして1時間後には忘れるほどです。見た目の違和感(多少の赤み)も2日ほどで消えました。
ただ、人によっては赤く腫れたり、痛みが数日ひかないケースもあるそう。女性でノースリーブを着る人は目立ってしまうかもしれないので気を付けたほうがいいかもしれません。
腋窩多汗症のボトックス注射、気になる効果は?

先生の言う通り、注射を打って2日後には「脇の汗が出ていない」と実感できました。本当に夢のようで、「抜群の効果です!」と言い切っても問題ないほどです。
その効果が、どれくらい続いたか気になりますよね?
2016年6月にボトックス注射を打って、じんわりと汗が出るようになったのが2017年2月。
つまり筆者の場合は効果は約9カ月ほど続いたことになります。
現在は同年3月で、やはりじんわりと汗が出る状態ですが、それでも注射を打つ前の「いつでも脇汗ビッチョリ」という状態ではありません。少しずつ効果がなくなっていくのでしょう。
安価な料金ではありませんが、「本当に効く」ことが分かったのは心強い。同じ悩みを持っている人は、ぜひ一度は試されることをお薦めします。
脇の汗を止めたい人は必見|保険適応になった腋窩多汗症の注射まとめ
- 腋窩多汗症のボトックス注射を体験した97.9%が効果を実感
- 痛みは個人差があるが、筆者はかなり痛かった
- 2012年から保険適応になり、現在は3万円弱で受けられるようになった