酉の市とは…わかりやすく解説|最高に粋な熊手の買い方とは!?

みなさんは「酉の市」をご存じでしょうか? 日本の伝統的な年中行事のひとつで、年の瀬におこなわれる祭のひとつです。夏の暑さがしずまり、少し冷たい風が吹き始めるこの季節。どことなくノスタルジックな気分に浸りながら古来の風習に触れてみるのも、趣があっていいですよね。

ここでは、子供でも理解できるよう分かりやすく「酉の市」を解説。さらに“酉の市マスター”と言っても過言ではない「最高に粋な熊手の買い方」についてもご紹介します。

酉の市とは…わかりやすく解説|熊手や招き猫などの縁起物を買う!

酉の市の由来。江戸時代に始まったお祭り

酉の市(とりのいち)とは…熊手や招き猫などの縁起物を買い、一年の無事と来る年の福を願う露店市です。

江戸時代に始まったお祭り

酉の市の始まりは江戸時代です。「春を待つ 事のはじめや 酉の市」と松尾芭蕉の弟子である宝井其角(たからい きかく)が詠んだ句にもあるように、正月を迎える前の最初の祭りとされていました。現在の足立区大鷲(おおとり)神社の近くに住む農民が鎮守である「鷲(おおとり)大明神」に感謝した収穫祭がはじまりだとされ、鷲大明神に鶏を奉納し、集まった鶏を浅草の浅草寺まで運んで観音堂前に放したといわれています。

東京都内では、発祥の地とされる足立区の大鷲神社、台東区の鷲神社がとくに有名ですが、他にも30ヶ所以上の神社で市が立ち、賑やかな年の瀬の風物詩になっています。

2018年の酉の市の日程はいつ?

酉の市は毎年11月の「酉の日」に行われます。ゆえに、年によって日程は違います。

すでに気づいている人もいるでしょうが、酉の市の「酉」とは十二支の中の「酉(とり)」を意味しています。それぞれの干支は一年のうちに12回ずつ巡ってきます。酉の場合、1回目を「一の酉」、2回目を「二の酉」といい、酉の市は毎年11月の酉の日の酉の刻(午後5時~7時)におこなわれるのが通例となっています。年によっては11月に酉の日が3回巡ってくることもありますが、「三の酉」まである年は火事が多いと、昔からいわれてきたそうです。

ちなみに2018年の「酉の日」は……

  • 11月1日
  • 11月13日
  • 11月25日

酉の市で有名な寺社

酉の市はおもに関東地方を中心におこなわれる行事です。酉の市がおこなわれる有名な寺社は関東だけでも30カ所以上あると言われていますが、全国的にとくに伝統があり有名なものとして以下の8カ所が挙げられます。

  1. 大鷲神社(東京都足立区) ※酉の市発祥の地とされています
  2. 鷲神社 (東京都台東区) ※関東三大酉の市のひとつ
  3. 花園神社 (東京都新宿区) ※関東三大酉の市のひとつ
  4. 大國魂神社 (東京都府中市) ※関東三大酉の市のひとつ
  5. 素盞男神社 (名古屋市中村区)
  6. 長福寺 (名古屋市中区)
  7. 大安寺 (静岡県浜松市中区)
  8. 大鳥大社 (大阪府堺市西区) ※大鳥信仰の総本社とされています

熊手にまつわるエトセトラ|最高に粋な熊手の買い方とは!?

毎年少しずつ大きなものに買い替えていく

酉の市の名物ともいえるのが縁起物がたくさんついた「熊手」です。もともと江戸時代に酉の市で農具として売られていた熊手が、福や金銀をかき集めるものに見立てられ、様々な縁起物を飾って商売繁盛・招福の意味が込められるようになったそうです。

浅草酉の寺、鷲在山(じゅざいさん)長國寺(ちょうこくじ)では、小さな竹の熊手に、たわわに実る稲穂を付けた「かっこめ熊手守り」を、開運招福のお守りとして授与しています。このお守りは、江戸時代から今日まで酉の市の日にかぎり、酉の寺やそれぞれの神社から授与されています。

翌年のさらなる大きな招福を願う意味から、熊手は、毎年少しずつ大きなものに買い替えていくのがよいとされています。毎年買う予定なら、最初は小さめのものから始めたほうがいいかもしれませんね。

【必見】最高に粋な熊手の買い方とは!? これが江戸っ子流!

熊手を買う際は、値切れば値切るほど縁起がよいとされています。まずはうんと値切ります。

  1. 値段を聞く
  2. 値切る
  3. さらに値切る
  4. もっと値切る
  5. 商談成立!

……という流れですが、このまま安く買おうなんて野暮なことをしないのが江戸っ子です!

江戸っ子
最初に聞いた値段を支払い、値切ったぶんはご祝儀として渡す――これが粋な買い方なのです。

買った(勝った)まけた(負けた)と気風のいいやり取りをすると威勢よく手締めが打たれ、ご祝儀を出した客も、祝儀を頂戴したお店もよい気分になり、周囲の人達も手締めに参加して皆ご機嫌になるというものです。

熊手を飾る場所はどこ?

熊手は商売繁盛・開運招福のご利益があるとされている縁起物です。買って家に持って帰ったら、きちんと飾っておきます。ほうき代わりに使うようなことはやめておきましょう。熊手はゴミをかき込むものではなく、福を集めるものです。

福を取り込みやすいよう、玄関の入り口に向けて少し高いところに飾る神棚に供えてお正月を迎えましょう。その際、熊手を東・西・南といった北以外の方角に向けて飾るのがよいとされています。

熊手の返却と供養

一年間飾っておいた熊手は、翌年の酉の市のときに返却します。買ったお店に返却して新しいものに買い替えてもいいですが、たいていの場合、境内のどこかに「熊手納め所」が設置されていますから、そこへ返却するとよいでしょう。

もちろん翌年の酉の市に行けないこともあるはずです。そんな場合は家でゴミとして処分しても問題ありませんが、できれば以下のようにお清めをしてから処分するようにしましょう。

  1. 新聞紙などを広げ、そこに熊手を置く
  2. 熊手に「左・右・左」と合計3回お清めの塩をかける
  3. そのまま新聞紙にくるんで処分する

お札の場合は焼いて処分することがありますが、熊手は焼かずにそのまま処分してください。

知って得しない!? 熊手のトリビア

もともと江戸時代に農具や庭掃除用具として使われていたものが、福をかき集める“縁起熊手”として酉の市で売られるようになりました。

さらに昔、平安時代の末期頃には熊手を武器として使っていた歴史もあります。長い柄の先に熊の手を模した鉄製の爪を取り付けたもので、敵を引っかけて倒したり、馬上から引きずり降ろしたりする目的で使用されていたそうです。

また、空手の技にも熊の手を模したものがあり、「熊手(五指折熊手)」という名前が付いています。「手の5本の指を曲げた状態で力を込め硬直化させ、敵を引っ掻くように加撃する技」ということですが、まさに熊の手でしょう。

【まとめ】酉の市の由来&最高に粋な熊手の買い方とは!?

酉の市は、昔から正月準備のはじまりを告げる風物詩として親しまれてきました。この市が立つことで人々は、「もうじき一年が終わる」ことを実感し、新しい年へと思いを馳せるのです。年の瀬のイベントといえば、今はどうしてもクリスマスばかりが目立ってしまいがちですが、日本古来の行事にも、そこだけにしか味わえない良さや趣があるもの。いつもとはちょっと違った雰囲気の年の瀬を味わってみてはいかがでしょうか。

ちなみに、2018年の「酉の日」は……下記の3日間です。

  • 11月1日
  • 11月13日
  • 11月25日
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