今年のお月見はいつ?十五夜、中秋の名月…今さら聞けない素朴な疑問

「♪うさぎ うさぎ なに見て はねる 十五夜 お月さま 見て はねる」という童謡をご存じの方は多いと思います。タイトルは「うさぎ」ですが、幼い頃に唄ったこのわらべうたで十五夜の存在を知った人も多いのでは?

さて、日本には古くから「お月見」という季節の行事があり、「十五夜」や「中秋の名月」といった言葉とともに知られています。しかし現在ではそれほど生活と密着したものでもなく、その行事がどういったものなのかよくわからず、そもそも「お月見」という言葉自体を知らない若い世代も多いのではないでしょうか。

ここでは、「今年のお月見はいつ?」に対する答えをはじめ、お月見や中秋の名月に関する素朴な疑問などをご紹介します。

今年のお月見はいつ? 十五夜、中秋の名月…今さら聞けない素朴な疑問

「お月見」という文化はいつから始まったの?

「今年のお月見はいつ?」に対する回答の前に、まずは「お月見」という文化について見て行きましょう。

「お月見」という言葉を知っている人なら、まず思い浮かべるのは「十五夜」「満月」「中秋の名月」あたりかと思います。お月見の由来をひもとくと、少しだけ「お月見」や「十五夜」の存在が明らかになってきます。

お月見がはじまったきっかけ

本来は「十五夜」とは「満月」のことを意味し、年に12回または13回めぐってくる夜のことを言いますが、一年のうちで旧暦の8月(現在の8月下旬~10月上旬にあたる)が最も夜空が澄み渡る時期。月が明るく美しいとされていて、平安時代には「観月の宴」が催されました。それが江戸時代になって収穫祭として広く人々に親しまれるようになったのが、「お月見の由来」だと言われています。

ちなみに、月を眺める風習自体は縄文時代の大昔(約3,000年前!)からあったと言われていますが、「なぜ月を眺めるのか」といった厳密な理由ははっきりとは分かっていません。

十五夜の日にちは毎年同じとは限らない?

本来は毎月めぐってくる十五夜ですが、一般的には旧暦の8月15日の夜をさします。ゆえに、現代だと「月遅れの9月15日ということなのだろう」と思っている人もいるかもしれませんが、じつはそうではありません。旧暦は月の満ち欠けを基準にしていましたが、現在の暦は太陽の周期を基準に考えており、両者にはズレが生じます。

そのため十五夜も毎年同じとはかぎらず、9月中旬~10月上旬の間のいずれかの日、ということになっています。日程を定めるために、あえて毎年9月15日に行事をおこなっている場合などはありますが、正確には日にちにズレがあるということ。

また、十五夜の日に必ず満月が見られるともかぎりません。地球の公転軌道の関係で、満月が現れるまでの日数にズレが生じるためです。

十五夜を「中秋の名月」と表現

中秋とは、字のごとく秋のちょうど真ん中のことをいい、旧暦の8月15日がそれにあたります。つまり「8月15日=中秋の名月」ということになり、十五夜のことを中秋の名月と言い換えて表現することがあるのです。

また、漢字が1文字だけ異なる「仲秋の名月」という言葉もあります。「仲秋」とは旧暦の8月をまるごとさす言葉で、仲秋の名月=8月の名月という意味になります。

十五夜だけじゃない? 十三夜と十日夜も

「十五夜=中秋の名月」であり、この日にお月見をするのが古くからの習わしであることはお分かりになったと思います。

しかし、十五夜だけがお月見の日ではありません。他にも「十三夜」と「十日夜(とおかんや)」というものがあります。月が一番美しく見えるのは十五夜ですが、十三夜と十日夜に見る月もまた格別で、昔からこれらの3日間が晴れだと、良いことがあるといわれてきたそうです。

十三夜

十五夜からおよそ1か月後にめぐってくる十三夜は、十五夜に次いで美しい月が拝めるといわれています。昔からこの日には栗や枝豆を供える風習があり、「栗名月」や「豆名月」という呼ばれ方もされています。ちなみに、「芋名月」という言葉もありますが、これは中秋の名月の別称で、つまり十五夜のことをいいます。

十日夜

旧暦の10月10日に行われる収穫祭のことで、東日本で多く見られる行事です。稲刈りが終わって田の神様が山に帰る日とされているため、お月見がメインではなく、稲の収穫を祝ってお餅をついて食べたり、地面の神を励まし、作物にいたずらをするモグラを追い払ったりする行事です。

2017年のお月見(中秋の名月)はいつ?

 

 

そして、気になる「今年のお月見はいつ?」というタイトルの答えについて。

2017年から東京オリンピックが開催される2020年までを一気に見てみます。ちなみに、2016年の中秋の名月は9月15日でした。

  • 2017年/10月4日
  • 2018年/9月24日
  • 2019年/9月13日
  • 2020年/10月1日

今年は少し遅めの10月4日となっています。このくらいの時期のほうが暑さもやわらぎ、過ごしやすいかもしれませんね。ちなみに、満月になるのは2日後の10月6日ではないかと予想されています。10月4日が満月でないのはちょっと残念ですが、それでもきっと大きな月が拝めるでしょう(天気が良かったらの話ですが…)。

お月見の楽しみ方いろいろ

お月見を楽しみたいけれど、どうやって楽しめばいいのか分からない、どんなものをお供えすればいいのか分からない……という人は少なくないでしょう。ここでは、自宅でもできるお月見の楽しみ方をご紹介します。

お供え物をする

丸い団子は満月に似せ、収穫や感謝を祈る。「魔除けの力がある」とされるススキは、月の神様の依り代として供えられる

お月見にお供えものをするのは、古代から月を信仰の対象ととらえていたからです。十五夜、十三夜、十日夜の3日間は収穫祭としての意味もあり、収穫物を月にお供えする風習があります。供えた後はおいしくいただきましょう。供えたものをおいしくいただくことで、神様との結びつきが強くなると考えられています。では、実際にどんなものをお供えすればいいのでしょうか。

月見だんご

代表的なお供えものです。穀物の収穫に感謝し、米を粉にして丸めて作ったのが月見だんごのはじまりで、満月に見立てて物事の結実を表しているといわれています。

里芋、さつま芋、きぬかつぎ

十五夜は別名「芋名月」とも呼ばれていることから、里芋などの芋類の収穫を祝う行事でもあります。「きぬかつぎ」は里芋を蒸して食べる料理で、昔から十五夜には欠かせないお供え物でした。

旬の野菜や果物

収穫に感謝し、旬の野菜や果物を供えます。ブドウなどのようなツルのある野菜や果物は、月と人との繋がりが強くなり縁起がよいとされています。

ススキ

ススキは月の神様の依り代といわれています。本来は農作物である稲穂を依り代にするのがよいそうですが、時期的に稲穂がなかったため、稲穂に似たススキを供えるようになったといわれています。また、ススキの鋭い切り口が魔除けになるとされ、お月見が終わったあと、軒先に吊るしておく風習もあります。

お月見の時にいただく食べ物はなに?

お月見のときに食べるべき物というのは特にありません。風習としては、お供え物を食べることくらいです。どうしてもお月見ならではのメニューを用意したいということであれば、収穫祭にちなんで旬の野菜を使った料理を作ってみてはいかがでしょうか。たとえばけんちん汁、里芋の煮物、筑前煮、さつま芋ごはん、栗ごはん、枝豆といった食べ物が挙げられます。

 

お月見のマメ知識|月見台の場所を決める

月見台とはお月見をする場所のことです。自宅の中からでも月を眺められる場所はあると思います。そこにお供えものを飾って、お月見を楽しみましょう。

  • 窓辺からお月見⇒窓辺にテーブルを置く。
  • 出窓があれば⇒出窓の張り出し部分を利用する。
  • 庭でお月見⇒庭にガーデンテーブルなどを置く。
  • ベランダに出てお月見⇒ベランダや窓辺にテーブルを置く。
  • 縁側がある場合⇒縁側にちゃぶ台などを置く。

日本各地の「お月見の名所」が知りたい!

自宅から満月を見るのもいいですが、やっぱり景色のいい場所で雰囲気を味わいながらお月見を楽しむのもおつですよね。そんな人におすすめのスポットがあります。

お月見イベントが開催されたことがある神社仏閣

京都の上賀茂神社。2016年は和太鼓やミニコンサートなどの奉納がありました。今年は?

  • 大覚寺「観月の夕べ」(静岡県焼津市)
  • 上賀茂神社「賀茂観月祭」(京都市北区)
  • 平野神社「名月祭」(福岡市中央区)
  • 八坂神社「祇園社観月祭」(京都市北区)
  • 長岡天満宮「名月祭」(京都府長岡京市)
  • 北野天満宮「芋名月」(京都市上京区)
  • 高台寺「観月茶会と月見座禅」(愛知県津島市)
  • 向日神社「観月の夕べ」(岡山県浅口市)
  • 松尾大社「月と光の競演」(京都市西京区)
  • 智積院「観月会」(京都市東山区)

その他のお月見名スポット

お月見のイベントは毎年恒例。龍馬とともに眺めるお月見はいかが?

  • 富士山(静岡県) 富士山の頂上から眺める満月は言葉を失うほどの美しさです。
  • 六本木ヒルズ(東京都) 屋上では国立天文台の研究員による解説を聞きながら月を眺めるイベントも行われています。
  • 桂浜(高知県) 古くから月見の名所と呼ばれ、地元ゆかりの歌人・町桂月をしのぶ「名月酒供養」が営まれます。
  • 信州姥捨(長野県) 日本三大名月に数えられた有数のお月見スポットです。

お月見に関するまとめ

日本人には古代から月を眺める習慣があったようです。和歌にも“月”が詠まれているものがたくさんあります。それだけ、月というものが人々にとって身近で親しみの持てる存在なのでしょう。お月見という行事が定着したのもなんとなくわかるような気がします。

2017年のお月見(中秋の名月)は10月4日です。

初秋の心地よい風を感じ、かろやかな虫の音に耳を澄ましながら夜空に浮かぶ月を眺めるというのは、すごく趣のある行事だと思います。十五夜の時期というのは、1年のうちで最も空気が澄み渡り、過ごしやすくなるとき。季節の移り変わりを敏感に感じ取ることができるときでもあります。“10月のお月見”は、2017年を逃すと次は2020年です。秋風に包まれながら月を眺めてみませんか?

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