イネ科の花粉は厄介者。ピークの時期はいつ? カモガヤ花粉症とは?

日本では現在、スギ花粉症に悩まされている人が非常に多いです。正確な数字ではありませんが、スギ花粉症患者の数は全国で3300万人にもおよぶと言われています。この10数年で患者数は急激に増えており、今後も増え続けると見られています。

かく言う私もスギ花粉症に悩まされています。毎年春先になると、くしゃみが止まらなくなり、自転車をこぎながらぽろぽろと涙をこぼしたりしています。

第二次世界大戦後、焼け野原となった日本各地の山林跡でいっせいに杉の植林がおこなわれました。杉の苗が成木になるまでにおよそ50~60年かかりますが、すでに大きく成長した杉の木々からは大量の花粉が放出されている状況です。花粉の放出は杉が老木になるまで数十年は繰り返されるでしょうから、今後も全国で花粉症患者の数が増え続けるのは仕方のないことなのかもしれません。

イネ科の花粉は厄介者。ピークの時期はいつ?

一口に「花粉症」と言っても種類はさまざま

花粉症といえば一般的にスギ花粉に対する症状を言うことが多いですが、それと並んでヒノキ花粉症の人もかなりいらっしゃいます。また、キク花粉症なんてものもあるようです。

毎年、冬の寒さが緩み始める頃から4月にかけて症状に悩まされるのは、主にスギ花粉症、またはヒノキ花粉症であると言えます。ドラッグストアやスーパーの薬売り場には「花粉症対策コーナー」が特設され、マスクや目薬の売り上げが急激に伸びる時期です。

しかし中には、5月に入ってもまだ花粉症の症状が改善されず、相変わらずマスクなしでは外出できない。あるいは5月以降になって症状が出始める。そういう人も少なからずいると聞きます。これはいったいどういうことなのでしょうか?

「イネ花粉症」はご存知ですか?

シーズンを過ぎればドラッグストアなどでも「花粉症対策コーナー」は見られなくなります。5月に入っても症状が続いている人の中には、そんな状況に不満を抱いている人もいるかもしれません。先にも述べたように、花粉症というのは何もスギやヒノキばかりではありません。

じつは今、イネ科の植物から放たれる花粉によって症状が出る「イネ花粉症」というものが注目されています。スギやヒノキに比べて患者数は少ないですが、医療機関でも毎年一定数、「イネ花粉症」と診断されている人たちがいます。

イネ科の植物はイネ、ムギ、アシ、ススキなど、日本国内に生息しているものでは十数種類ありますが、どうしてイネ花粉の患者数はスギやヒノキと比べると少ないのかご存知でしょうか?

理由は花粉が飛散する距離が短く、広い範囲に拡散しないからです。

スギやヒノキはどちらも大木で、広大な山林に密集して生えていますから、花粉の量も極めて多く、遠く広い範囲に飛散します。それに比べ、イネ科の植物というのは背が低く、生息している場所も畑や田んぼ、川沿い、堤防などと範囲がかなり限定されるので、花粉が飛散する距離が短く、範囲も狭くなるわけです。

イネ花粉症は年2回やって来る!?

スギやヒノキの場合、一定期間が過ぎれば花粉の飛散は収まり、それに合わせて花粉症の症状も緩和していきます。ところが、イネ花粉症に限っては事情が違います。「5~6月」と「8~9月」の年に2回、花粉飛散のピークがあると言われています。

6月が終わるころにはいったん症状が治まりますが、夏真っ盛りの8月になって再び症状が出始めるのです。これはなかなか厄介者です。治ったと思っていたらまた症状が出る。夏の一番暑い時期にマスクをして外出しなければならない。考えただけでもウンザリしてしまいますよね。

ピークが2回あると説明しましたが、どちらかというと「5~6月」のほうが飛散量が多いというデータがあります。ですから1回目のピークが終わると、あとはもう症状が出ないということもありますし、運悪く2回目のピークを迎えてしまうこともあるでしょう。

イネ花粉症で絶対に抑えておきたい注意事項とは!?

イネ花粉症の主な症状はスギやヒノキの場合と同じで、「くしゃみ・鼻水・鼻づまり」「目のかゆみ・充血」が挙げられます。

しかし、気を付けなければいけないことがひとつあります。もしあなたが、イネ科に対して何らかのアレルギーを持っていた場合、イネ科の花粉によりアナフィラキシーショックを起こし、喘息などの呼吸困難、じんましん、嘔吐といった症状が出る可能性があります。

また、食物依存性運動誘発アナフィラキシーというものもあり、特定の物を食べて数時間以内に運動をすると、喘鳴、咳、じんましん、嘔吐、吐き気、血圧の低下を引き起こすこともあるそうです。自分がイネ花粉症にかかっているという自覚がある場合は、飛散ピーク時にイネ科の植物が多く生えている場所の近くで運動するのは避けたほうがよさそうです。

イネ花粉症の予防法&カモガヤ花粉症とは?

イネ花粉症はどんなことを注意すればいいの?

基本的にはスギやヒノキの場合と同じですが、いちばん重要なのはイネ科の植物が生息する場所に近づかないということです。どうしても避けて通れない場合は、以下のような対策を取りましょう。

  • 外出時にはマスクやメガネをする。
  • 窓の近くに田んぼや堤防などがある場合は、できるだけ窓を閉めておく。
  • 衣服に花粉が付いていることがあるので、外出先から帰ってきたら、家に入る前に花粉を払い落とす。
  • 田んぼや堤防の近くでの激しい運動は避ける。

以上のようなことに注意しておけば、かなり予防できるでしょう。また、自分がイネ花粉症なのかどうかわからず、5月以降でも症状が出るようなら、いちど医療機関を受診し、血液検査をしてもらうのもいいかもしれません。

カモガヤ花粉症って何?

聞き慣れない名前ですが、「カモガヤ」とはイネ科の植物の一種で、イネ花粉症にかかっている人の多くは、この「カモガヤ花粉症」に分類されるのだそうです。

カモガヤ花粉症の症状ですが、イネ花粉症の一種ですから、症状としては先に述べた通りです。

厄介なのは、やはりアレルギー反応。イネ科に対してアレルギーがあると、喘息、じんましん、嘔吐などの症状が出ることがあります。また、特定の食物を口にしたときにOAS(口腔アレルギー症候群)を引き起こす場合があり、重度になるとアナフィラキシーショックを起こす可能性もあります。

イネ花粉症、カモガヤ花粉症の人が食べてはいけないものとは?

イネ科の花粉と食物アレルギーには、食べ合わせのようなものがあるといわれています。

口にすると即座にアウトというわけではありませんが、イネ花粉症にかかっている人が注意すべきなのは「スイカ・メロン・キウイ」といった食物です。

あくまで花粉症の症状が出ている状態で口にすると危険という意味ですから、一年通じてこれらのものを食べてはいけないということではありません。あまり神経質になりすぎないほうがいいとは思います。どうしても不安なら、いちど医療機関を受診して、専門医に相談してみるのがいいでしょう。

イネ花粉症のまとめ

イネ科の花粉症という、一般的にあまり知られていない花粉症について解説してきましたが、聞き慣れない言葉もちらほら出てきて、筆者自身、この記事を書きながら新しい発見ができました。これを読んでいただいた皆さんの中にも、「わたし、カモガヤかも?」とびっくりしている方もいらっしゃるかもしれません。

イネ花粉症の場合、アレルギー反応との関係もあって、たしかに厄介な症状ではありますが、気をつけなければいけないのはピークの時期だけです。外出時のマスクや目薬、点鼻薬などで対策していれば症状をやわらげることができます。そうすればアレルギーの心配も軽減されるでしょう。

ご自身の花粉症のタイプがどれなのかわからない場合は、まず医療機関を受診し、確かめてみては? そして専門医の指導のもと、適切な対策をとるのがいいと思います。花粉の飛散はこれからも毎年続きますから、シーズンが近づいたら、しっかりと予防するようにしましょう。

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